新田高等学校教員組合 1988年度活動方針
《人間に大事なものは 想像力と勇気なんだよ》 --チャップリンの「ライムライト」から
一 昨年度の組合活動をふりかえって
(1) 商業科の団塊的高齢化に関する討議について
〇本校商業科のいわゆる団塊的高齢化(本年度の平均年令52歳)は、職業教育にたいする学園の無理解と、人事面での長年にわたる無策にその根本的原因があると思われます。私達は、この根本的原因を見失わないようにしたいと思います。
〇この間の学園の商業科対策は、一言で言えば、なし崩し的廃科路線、あるいはもう少し露骨な表現が許されるならば安楽死路線とも言わざるを得ないものでした。
〇そして、それは実は、国公立コース設置(昭和54年)、市内女子高の成績上位者を本校へ「導入」するための変形共学移行(昭和61年)などを通じて、この10年余り学園が取りつづけてきた、砂上の楼閣のごとき特進(特別進学)路線と表裏一体となっており、入試の際の生徒の割り振りに如実に示されているように、商業科は普通科のレベル維持のための調節弁と化していると言えましょう。
〇このような背景を持つ団塊的高齢化は、もう一つの職業科である工業科においても八年後(1996年)にはほとんど同じ形で再現されるはずです。
〇忘れてはならないことは、本校が、その実態から言って、いわゆる進学校ではなく、進学・就職校であるということです。この実態は今後も大筋では変わらないであろう思われます。したがって、がむしゃらに特進路線を推進する余り人事面での全校的なバランスを失うような事があっては、取り返しのつかない事態にもなりかねません。
〇そして、残念なことに、現在すでにその兆候が明白に現れているのです。
〇こういう状況の中で、商業科の組合員が、科の現状と将来に強い危機感を抱き、職業教育再生のための打開策を模索するのは当然の事です。組合としてもその努力を基本的に支持しなければならないと考えます。
〇そもそも「団塊的高齢化」の問題点とはなんなのでしょう。この間の商業科分会および執行委員会での討議のなかで明らかに成った点をまとめてみます。
〇このままで生徒数減少期をむかえると、商業科クラス数削減・商業教育に関心を持たない商業科生徒の一層の増加、ひいては商業科の廃止・商業科教員の他教科への転進などの事態すら危惧されます。(商業科の存続にかかわる危機)
〇年令の高齢化とともに、教員の体力(あるいは気力)の低下が避けがたく、生徒指導上の困難が生ずるおそれすらあります。(商業科教育の活力にかかわる危機)
〇団塊的高齢化への対策として一部で主張されている「六十歳(あるいはそれ以下)退職と若い商業科教員の採用」論は、今挙げた二つの問題点に対する解決策と成りうるでしょうか。
〇「商業科の存続にかかわる危機」について言えば、要は、高校卒業後社会人として巣立つ意志のある生徒にとって、本校商業科が、十分魅力的で在りえているかどうか、という問題だろうと思われます。それは、教員の年令の問題というよりは、父母や生徒の願いや時代の深部の流れをつかむ認識力とか、旺盛な研究心、商業教育を発展させようとする教員相互の同志愛などの問題ではないかと思うのです。そしてこの点では、普通科不合格者を商業科へ回すという現行入試方式の改善は勿論ですが、商業科を廃止して、普通科の中に職業教育をめざす専門コースを新設する案までをも含めた、大胆な検討が求められていると思われます。
〇又、「商業科教育の活力にかかわる危機」について言えば、学園に商業科を存続する意志があるのであれば、今こそ万難(商業科教員の担当授業時間数削減を含めて)を排して新卒教員採用踏み切るべきであります。これは学校経営者としての学園の当然の仕事であります。教員の年令バランスを適正に保持し、教育活動の活力を維持発展させることは学園の基本的な責務と考えられるからです。
〇しかし、商業科の高齢化の現状から言って、この施策のみで商業科の「若返り」をはかろうとするのは無理であろうと思われます。全学合意を充分に確立したうえで、全校一区の「広域人事」を併用しながら、根本的な解決策を探っていくことも現実的な方法であると考えます。
〇「講師」辞退とか、定年の短縮などは、全校的な見地から見て、あるいは時代の趨勢から見て、妥当性を欠いていると言わざるを得ません。
〇さ来年から始まる生徒数減少期においては、おそらく全学的な規模で、一層多様な問題が生じて来ると思われます。組合はそれらの問題に、教育の原理に立って解決していくという意味で攻勢的に、また、本校内だけの狭い常識にとらわれないと言う意味で創造的に、とりくんでいかねばなりません。その際、既得権の放棄や「弱者」切り捨てによる解決は、何とかして避けなければならないと思うのです。
〇今年度の組合の取り組みは、中途半端なものに終わってしまいましたが、学園に先んじて自主的に取り組んだ点は評価できると思います。今後とも、根本的な原因を見失うことなく、継続して討議していきたいもので。
(2) 教員採用人事の明朗化のための取り組みについて
〇商業科の団塊的高齢化の問題とかかわって、教員採用試験を公開させる交渉に取り組みました。
〇昨年三月までの本校の教員採用には、次に挙げるような不明朗さがありました。
- 現場無視
教科・教科主任の意向が、全くといっていいほど無視されていました。これは、商業科の団塊的高齢化の基本的原因でもあります。
- 秘密人事
誰がどこへ求人票を出し、誰がどこで面接し、誰がいつ採用を決定するのか、が公開されていませんでした。
- 不公正
新卒の時間講師の扱いが極めて不公正でした。ある人たちは、一年間の試用期間のあと約束を反古にされ、ある人たちは、試用期間なしで採用されるといったことがありました。
- 政治家の介入
反社会的団体との関係の深い政治家が、本校の教員採用に拘わることが少なくありませんでした。
- 同僚不信の助長
新採用教師に対するオリエンテーションの場で、教頭が「学校には馬鹿なことを言う教員もいるが、そういう教員の言うことを聞いていると本校には残れない。」などという非常識な指導をしていたことが、一昨年発覚しました。
〇(秘密人事)については、校長理事長交渉の結果、求人票を学内でも公開し、教員にも協力を求めることとなりました。教頭自宅での面接についても、理事長は「よくない」と明確に言明しました。
〇(不公正)に関しては、試用期間を置かずに採用した二人の女子教員が、わずか2年の在職の後あいついで退職し、採用担当者の人事能力を疑わせる結果となりました。 の(現場無視)を改めることと合わせて、教員新採用のさいの基本方針を明確にさせる必要があります。この点は、先程も触れたように、商業科の団塊的高齢化問題の解決のためにも大切な課題であります。
〇(政治家の介入)についても、今後公教育の場にふさわしいけじめが求められます。
〇(同僚不信の助長)については、一昨年、組合は教頭に強く抗議し、二度とこういうことをしないよう申し入れました。
(3) 校務運営の民主化のための取り組みについて
10月6日、校務運営の民主化に関する定期大会決定に基づいて、校長との懇談を持ちました。申し入れ事項は次ぎの通りです。
- 教師が互いに信頼でき、団結を強めることのできる民主的な学校運営がはかれるよう取り組む。
- 教職員の意見を尊重した学校運営をはかるため、充分な準備のもとに職員会などの各種の会議を充実させ、討議の場・意思統一の場となるように取り組む。
- 教頭の公選制・部科長の任期性について検討を進める。
- 学級人数などの教育条件および労働条件を見直し、新田教育前進の為に必要な活動を進める。
- 組合の代表が学校運営・教育問題について理事長・校長と定期的に懇談を行う。
〇この懇談会で、校長が示した見解は、おおよそ次のようなものでした。
A
について
全学合意という趣旨は結構なことで、大事なことだと思う。
B
について
職員会にもってくるまでの各種の会議を充実させる必要がある。校長の居ない話しやすい場所で充分討議して、職員会にかけるようにしたほうが良いのではないか。
校務運営委員会をはじめとして、各種の会の運営規則が要るのではないだろうか。構成メンバーなどがはっきりしていない場合がある。
会議の「記録」も確かに大事だ。
C
について
教頭は誰が任命するのか。
公立の進路課長は3年ということになっていて、それに準じて他の課長も大体3年となっているが。
D
について
組合の言うようにはいかないときもある。
E
について
定期的と言うことにはならないかも知れないが、懇談していきたいと思う。
〇懇談会であるので、明快な回答にはなっていませんが、校長の誠意や前向きの姿勢が感じられた話し合いでした。
〇執行委員会は、2学期一杯、校務運営の民主化をテーマにして討議を続けました。
〇この間の執行委員会の活動は執行委員会外からは分かりにくかったかも知れませんが、おもな討議内容は、
- 「外公内秘」(対外的には公開されていることでも、学内には知らされていないことが多いことを指します。)の打破、
- 「外公内秘」の一つとしての採用人事の明朗化、
- 各種会議の性格および充実
- 教頭のあるべき姿、
等重要な内容を含むものでした。
〇採用人事の明朗化の問題については、討議に並行して校長・教頭交渉も実施しました。
〇執行委員会は、一定の結論を得た段階で、その当否を確かめる意味で「学校運営民主化についてのアンケート」を実施しました。
1月18日に実施した「学校運営民主化についてのアンケート」には、91%の組合員が回答を寄せました。このアンケートに集約された意見のうち80%以上の組合員の支持を得た項目は
- A 教育方針や生徒募集・校務運営などについては職員会で審議・決定すべきものである。(83%)
- B 職員会では、提案にいたる経過や提案の趣旨・目的をはっきりさせて提起してほしい。(96%)
- C 各人の意見を整理する時間を保障するために、議題をまえもって知らせるべきだ。(94%)
- D 学校運営において、校務運営委員会は決定機関ではなく、職員会の準備や教育活動の連絡・調整を行う機関であるべきだ。(88%)
- E 学校運営において、部科長会は決定機関ではなく、職員会の準備や教育活動の連絡・調整を行う機関であるべきだ。(87%)
- F 本校教員新規採用のための「求人票」の連絡先の電話番号が教頭の自宅になっているのは、不明朗・不公正人事につながるおそれがあり好ましくない。(82%)
などの諸項目でした。また、
- G 学内での検討・確認をいい加減にして外部への発表・公開をすすめるやりかた(外公内秘)は、全学合意体制作りを阻む要因である。(70%)
- H 女子生徒の入学基準の変更は、職員会にかけるべきである。(77%)
の2項目にも圧倒的多数の支持が集まりました。
〇さらに、すべての教員が参加する学校運営を進めるうえで、現教頭のはたしている役割については、66%が「そのような方向に進んでいない」、あるいは「そのような方向に進むうえで支障となっている」と答えました。
〇このアンケートを通して、校務の民主化、全学合意の形成のための当面の課題が明確になりました。執行委員会は、このアンケートで80%以上の支持の寄せられた項目を
- 新しい方針を提起する場合には、時間的余裕を充分に取ることが何にもまして重要であること。
- 職員会はもっとまめにやらなければならないこと
- 全学にかかわることや、各種の方針変更については、「校務を掌る校長がリーダーとして同席する職員会議」で決定されなければならないこと。
- 外部に公開されることは、事前に内部に知らせるべきこと。
の4項目にまとめ、これらの要求の実現のために、2月3日、校長交渉を持ちました。
〇引き続き2月4日には、求人票の電話番号について、理事長交渉を実施しました。
〇学校長は、組合の指摘にほぼ全面的に同意し、職員会の重要性、校務運営委員会の性格などについても双方の見解の一致を見ることが出来ました。この交渉は、学校運営の民主化にとって貴重な一歩となったと思います。この交渉における学校長の発言の中から注目すべきと思われるものをいくつかあげておきます。
- ◇「職員会が大事な会だということは十分認識している。通常月一回程度はやらねばならないだろう。」
- ◇「学期始めに配る行事予定表に職員会の日取りも書き入れておくようにしたい。」
- ◇「(校務については)『校務を掌る校長がリーダーとして同席する職員会議で審議・決定する』という(組合の)表現はうまく言っていると思う。」
- ◇「校務運営委員会の性格については、私も『連絡・調整』のための会だ思っている。」
〇また、学校長は、非組合員を含む部科長会で、この交渉での合意項目を報告したとのことですが、これも今までには無かったこととして高く評価できると思います。
〇しかしながら、この交渉から5か月を経過した現在、職員会の定期開催について、理由のはっきりしない延期がときおり見られ、50周年記念文化祭の統一テーマを全体で審議できなかったなど、実害を出してしまったことは遺憾なことです。
〇組合としても、この点での合意が曖昧にならないよう、必要に応じて申し入れ活動などを実施して行く必要があると思います。また、職員会の資料を早めに配布する点では、全く見るところがなく、この点も今後実施させていかねばならないとおもいます。
〇「求人票」の電話番号についても、理事長は「こういうものは、当然学校の番号を書くべきである。また、面接も校内で実施するのが当然である。」、「求人票については、学内の先生方にも知ってもらい協力も得たいので、来年からはこれを職員室にはりだすなどしてお知らせしたいと思う。」と明確に回答しました。
〇50周年募金の在り方、受験のしおり、等についても必要な提案をしました。
(4) 愛私協、四私研、中四私研、全私研、19.5私学実行委員会などの活動
〇本年度の各種研究集会は、本校の課題とかみ合ったものがほとんどで、どの集会もそれぞれに有意義でした。
a 全私研(全国私学夏季研究集会:全国私教連主催)
本年度の金沢全私研(7月27日〜29日)には、2名が参加し、職業科教育の全国的な動向についても得るところがあり、2学期以後の活動に生かすことが出来ました。
b 中四私研(中国四国私学教研実行委員会主催)
広島で開催された中四私研(11月21日〜22日)には、商業科・工業科の「団塊的高齢化」の問題をより広い視野でとらえようと、この問題についてのレポートを作って参加しました。
c 第21回四私研(四国私学教研実行委員会主催)
「私学の特色作り」に関するレポートを持って7名が参加しました(3月5日〜6日 高知)。大阪・千代田高校の吉村禎二先生の実践報告(記念講演)は、各学年ごとの具体的目標、学校行事を節とする年間計画を、生徒と教師の協力で集団的に練り上げ、授業と家庭学習を重視し、すべての生徒に基本的な学力を保障しようというもので、さすがに「大阪私学の宝」といわれるだけのことのある感銘深いレポートでした。一つの学校が教育実践で本気になるとはどういうことか、を深く考えさられた講演でした。
d 愛私協(愛媛県私立学校教職員団体連絡協議会)
四私研、中四教研、第四回愛媛の私学を語る父母と教職員の会(初めて四私研から独立して開催されました)に取り組み、連帯を深めました。
また、今月27日から3日間、松山で開催される第19回全私研(全国私学夏季研究集会:全国私教連主催)と第5回愛媛の私学を語る父母と教職員の会を成功させるために、私学父母、市民、教育団体に呼び掛けて、新たに「19.5私学実行委員会」を結成しました。
e 大手前高校支援のそうめん販売では160ケースが売れました。
(5)賃金関係の要求調査に見られた顕著な特徴(工事中)
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