2002年 7月 29日 月曜日

治水ダム


 韓国チュンチョン(春川)市の山奥で、初めて「純」治水ダムを見た。日本のダムは多目的ダムということで、治水と利水の両方を機能させようとするものが多い。しかし、治水のためには水を貯めてはならず、利水のためには水を貯めなえればならず、結局中途半端なダムになってしまう。

 しかし、このチュンチョン市のダムは珍しく治水専門のダムなのである。ダムの全景はこのように普通のダムのように見えるが、実はこれは上流側。水はほとんど貯められていない。

 上流から流れてきた水は、ダムの手前にある穴を通ってそのままダムの下流へ流れて行くのである。

 この川は、ソウルを流れるハンガン(漢江)の上流であり#、かつ、水源は朝鮮(DPRK)領内金剛山系にある。そして、こともあろうに、朝鮮は自分の領内に大きな軍事ダムを築いているという。ダムに水を貯めておいて、いざというときにこれを決壊させ、ソウルを水浸しにする装置である。

 とすると、朝鮮のダムは「純」利水ダムということになる。韓国側は、ソウルを朝鮮の「純」利水ダム決壊作戦から防衛するに、この「純」治水ダムをもってしようとしているのである。名づけて「ピョンホァ(平和)ダム」。韓国側の計算では、このダムはあと45メートル高くしなければ十分対応できないらしく、近くかさ上げ工事が始まるのだという。

 中国の「三国志」にでも出てきそうな、知将と知将の知恵比べである。ただ、朝鮮(DPRK)にそのような目的のダムが本当にあるのかどうかは、私たちには確かめようがない。

 「平和ダム」を見学した帰り道は、チュンチョン市の名物「鯉料理」をご馳走になった。うまかった。

 #ハンガンの上流は南の忠清道に水源を持つナムハンガン(南漢江)と、北の金剛山系に水源を持つプクハンガン(北漢江)に分かれている。この川は、プクハンガンである。

 付記:この件に関して韓国MBC放送は次のように伝えているそうだ。わたしが聞いた話とちょっと違うところもある。

 
KBSの春川総局によりますと、北韓は先月(2002年5月)31日、北漢江上流にある金剛山ダムの貯水を梅雨の前の工事のため一定 量を韓国側地域に放流すると事前通告していましたが、北韓は予定通り3日に続いて4日も金剛山ダムの貯水を韓国側の平和のダムに向けて毎秒200トンずつを放流し、4日午前7時までに合わせて1660万トンが韓国側の貯水ダムに流れてきたことが確認されました。これと関連し韓国側の平和ダムの補強工事の担当者は、「金剛山ダムからの放流がいつまでどの程度続くかは今のところはっきりしていない」としていますが、韓国が進めている平和ダムの補強工事には特に影響はないものとみられるとしています。韓国政府は南北を分断する非武装地帯の北韓側にある金剛山ダムに亀裂が生じ、最悪の場合、ダムの崩壊につながる恐れがあるとして、金剛山ダムの下流にある韓国の平和ダムのえん堤をかさあげして、梅雨時の大雨に備えるとともに、さらに下流にある華川ダムの水位を下げる作業を行っています。