2002年 9月 2日 月曜日

『緑海』


 インド洋(Indean Sea)は三大洋中最小とはいえ広大な海である。その範囲は『日本大百科全書』(小学館)によれば「北はインド、パキスタン、バングラデシュ、西はアラビア半島およびアフリカ、東はマレー半島、スマトラ、ジャワの列島線およびオーストラリア、また南は南極大陸に囲まれた海洋」となる。

 とすると、インド洋に臨む国々はおびただしい数にのぼる。それらの国が「インド洋」なる名称に異議を唱えているのかどうか確かめてはないが、おおかたそんな国はないと思われる。なぜならそれらの国々は歴史的に見て、「インド洋」が「インドの領海」という意味ではなく、「インドに通ずる海」という意味理解していると思われるからだ。

 それは「淡路島」がもともと「阿波」の島ではなく、「阿波」へ道(路)であったのと似ている。

 「日本海」も当然「日本の領海」という意味ではない。「日本海」という名称はロシア人・クルゼンシュテルンが作った海図(1815年)に使われたのが最初だというから、「日本へ続く海」というつもりで名づけた名称ではないだろうか。そうそう、「日本海」が「朝鮮海」と書かれている古地図を写真で見たことがある。これは「朝鮮へ続く海」という意味である。

 この数日、韓国(DRK)や朝鮮(DPRK)の政府機関が、地名に関する国際会議で「日本海」という呼称に異議申立をしているというニュースが報じられている。かれらにとっては、「日本海」という呼称は「日本に続く海」以上の感情的な色合いが感じられるらしい。

 いうまでもなく「日本海」との関わりにおいて、日本が韓国(DRK)や朝鮮(DPRK)に比して特別に独占的な関係を持っているわけではないのだから、「日本海」はもっと「公平な」別の呼称に変更すべきだ、という主張がでるならそれは十分尊重されるべきである。

 ただし、公正な名称の採用を主張する政府機関は、自国の現状についても公正な目で見なおすべきだろう。例えば、朝鮮(DPRK)の場合。

 学友書房(ハグ・ソバン)が朝鮮民主主義人民共和国の祖国社、百科事典出版社、ピョンヤン情報センターの協力を得て発行した「最新 朝鮮地図」では朝鮮半島の東の海つまり「日本海」を「朝鮮東海(チョソントンヘ)」と呼んでいる。朝鮮の西の海、つまり「黄海」は「朝鮮西海(チョソンソヘ)」となっている。こんな呼称はかえってことを面倒にしてしまう。「日本へ続く海」とは違った意味での自国中心性あるからだ。

 韓国(DRK)の若い友人イ・ヒョンホ君が以前「韓国には『日本海』を『緑海』に変えようという運動があるんですよ」と話してくれたことを思い出すが、これなどなかなかいいネーミングのように思われる。