衛藤さんの思い出したことはこんなことでした。
松浦と名乗る人物(以下工作員)が衛藤さんに会いに学校へやってきた。衛藤さんは自分のクラスの生徒の親だと思って応対していたがどうも話が通じない。それで相手を確認したところ「県警の松浦だ」と名乗ったという。そして、「先生、ちょっと時間をとってくれませんか。」「ここではちょっとまずいのですが・・・」と学外での懇談を求めた。衛藤さんは、生徒の補導上の問題かもしれないと思って喫茶店へ同行した。
工作員の話は、世間話から始まり、衛藤さんの趣味(釣り)、出身地、家族構成などの話に移った。既に知っていることを再確認するような話し方だったそうだ。
そして、ついに「先生、私を男にしてください。」と切りだし
- 組合の活動方針はどんなものか?
- 私立高校生への授業料直接補助要求についての衛藤さんの考えは?
- 新田教員組合の組合員数は?
- 尾上・柳瀬はどんな人物か?
- 柳瀬は」日本共産党員か?
などと次々に尋ね始めた。
衛藤さんは
- 「副委員長になったばかりだし,組合のことはよく分からない。」
- 「柳瀬さんや尾上さんについては、本人を呼んであげるから、本人に聞いてほしい。」
と答えた。
工作員は衛藤さんの自宅を訪問したいと言って来たが「来てもらう必要はない」と断ったという。
その後、工作員の接触はなく、衛藤氏も柳瀬さんや忘暮楼に余計な心配をかけては・・・」と自分の胸の中にに収めているうちにこの日まで忘れていたと言う。
衛藤さんと柳瀬さんは、松浦と言う工作員の人相や年配、物腰などついての記憶を確認しあったが、二人の記憶のなかにいる「松浦」像は見事に一致した。同一人物に間違いないと確信した。
「男にしてください」と言う言葉をきっかけにこのことを思い出したわけだが、この証言によると、県警本部は1年まえから工作をはじめていたのだった。