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最近恒例になってきた情報ビジネス科の“ミッドナイトウォーク”。
初夏の一夜を、星と潮風と波音とともにすごします。
第一回目の“ミッドナイトウォーク”(1992)はこんなでした。
●深夜11時スタート 10時間のハード・ウォーキング
日もだいぶ高くなった。学校の横の道路はいつものとおり通勤車の渋滞が続いている。昨夜十一時ラジオの時報を合図に長浜駅前を出発した「四一キロ ミッドナイトウオーク」もいよいよ最終盤。 ほとんどの生徒はすでに無事帰還した。大部分の生徒は合宿所の大広間で小休止をとったあと三々五々帰宅していったが、まだ車座を作ってジュースを飲みながら談笑している生徒もいる。ジュースはPTA会長から差し入れだ。
午前九時、トップグループに遅れること二時間半、最後の二人が学校の合宿所へ帰ってきた。疲れ切った表情で、友人たちの車座に加わる。この生徒達は四一キロのみちのりを一〇時間かけて歩いてきたのだ。
結局、商業科三年生二クラスの生徒八一名と父親代表一名、そして教員二名、計八四名が全行程を歩き抜いた。途中でリタイアした子はわずか三名だった。
その他、連絡センターで徹夜の電話番をしてくれた生徒がふたりいる。一人は腰痛、一人は前日病院から出てきたばかり。さらに、サポート部隊を担当し、交通事故防止や途中の食事の世話などにあたってくれた教員が五名。たくさんの人々に支えられて進められた行事だった。
●即製“熱中先生”
高校生活最後の遠足は本当の遠足にしよう、と商業科三年2クラスの生徒達に呼びかけ始めたのは三ケ月前、二年生三学期のはじめころであった。
「おい、みんな。今度の遠足はほんとに歩こうや。一晩歩こうや。S高の先生の話やと歩き抜くとすごい感動するらしいぞ。」
あれこれ話しているうちに、退勤時間が大好きなサラリーマン教師である私も、だんだん「熱中教師」のような気分になってきた。
身振り手振りまで加わって、「これはすごいアイデアじゃ。やろう。青春しようぜ。マラソンの距離ぐらいを一晩かけて歩こう。ぼくも歩くぞ。限界に挑戦じゃっ。ええ若いもんが、高い金使うて、バスに乗ってチンタラチンタラなんとかパークまで出掛けることもあるまい。なあっ!なあっ!」と勝手に盛り上がってきた。
生徒たちの反応はいろいろ、おもしろそうと目を輝かすものもいれば、エエッと溜め息をつくばかりの生徒もいる。「あれセンセ!三年の遠足は生徒で決めるんやないん!」と痛いところを攻めてくる生徒もいる。
どんな遠足にするかということは、授業でどんな教材を使うかということと同じだと思う。ねらいがまずあって、それにふさわしい方法がある。忍耐力の養成とかいった生徒達の人格形成にねらいをおく遠足もあろうし、生徒達の友情を深めさるための遠足もあろう。青春の感動を体験させようとする遠足もあろう。どちらにしろ、いわゆる多数決だけできめたのでは生徒への迎合に終わりかねないアブナサがある。
それから三ケ月、二人の学級担任は機会をとらえては、「テレビが取材にくるぞ(これはかなり効果があったが実際は来なかった)」、「じゃかましい、やるゆうたらやるんじゃ」などとアメ入りムチ入りの説得を続け生徒全員にそのつもりになってもらったのたのだった。
●生徒たちの感想
さて、生徒達の感想はどうだったか。遠足の翌日「センセッ、この企画は完全に失敗っ!こんなことするもんやない」と毒づいていたA君の最近の感想はこうなっている。
「しんどかった。伊予市のあたりで限界かと思ったけど何とか最後まで歩けた。自分でもよく歩けたと思っている。足は痛かったけれどゴールに着いたときのうれしさはとても晴れ晴れとしたものだった。」
あんなこと言いながらやっぱり感激してたんだなあ。
途中でリタイアしたB君の感想…「とてもとてもしんどかった。僕はヘルニアなのでどこまで歩けるか最初から不安でした。まあ半分歩ければいいと決めていました。途中リタイアになったけれど先生達や僕を友達が励ましながら一緒に歩いてくれたのが印象的だった。これは高校生活最大の思い出になるでしょう。もし自分一人だったら絶対に歩けなかっただろう。友達の力はすごいものだ。」…泣かせるねえ。
C君は、「真っ暗な中をただ歩くのみ。後ろを見ると点々と街灯の明かりが見える。まるで蛍のようだった。とても苦しかった。しかし最後の喜びは歩いて見ないと分かるまい、はっはっはっ。MIDNIGHT WALKは商業科の名物にしてほしい。」
C君のようにこの遠足を商業科の名物行事にしてほしい、という意見は参加者の半数以上から寄せられている。
「星空が奇麗だった。…」「生まれて初めて流れ星を見た。…」「みんなで励ましあった。…」「足が棒
になることが本当にあるのだなあ。…」「道路で友達と寝そべった。…」などなどたくさんの思い出をのこして初めてのミッドナイトウォークは終わった。
私達も久し振りに納得のできる仕事に取り組めた。生徒諸君ありがとう。
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