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3.戦後も変わらぬ靖国神社の本質

 

 戦後、靖国神社は国家管理から離れ、単立の一宗教法人として存続する途を選んだ(被告靖国神社の成立)。国家との直接的なつながりはなくなったが、戦没者を「英霊」として慰霊・顕彰することにより、戦死を他の死(例えば空襲などによる戦災死)と峻別し、戦死を尊いものとして褒めたたえる。その教義,宗教施設としての本質は戦前のそれと何ら変わっていない。

 民間の一宗教法人となったものの、被告靖国神社は戦後も引き続き国家から「特権を受けて」(憲法20条1項後段)来た。厚生省(現厚生労働省)が、陸軍省や海軍省に代わって、靖国神社に祀る戦没者の名簿を作成して交付し、被告靖国神社がこの名簿により、新たな祭神を霊璽簿に書き加え、合祀してきたのである。祭神として祀るべき戦没者の選択は、同神社の教義と礼拝行為の中核的作業である。被告靖国神社の宗教行為は、国家の特別の便宜供与によって成り立ってきたのである。

 また、被告靖国神社は、内閣総理大臣の公式参拝を求めているだけじゃない。天皇の「御親拝」の復活をも悲願としている。同神社のホームページ(http://www.yasukuni.or.jp)には、靖国神社関係者と思われる者と「靖国神社と日本人」(PHP新書)の著者・東大名誉教授小堀桂一郎氏との対談が掲載されていた(2001年10月25日現在)。同対談で、「まずは総理大臣の公式参拝の実現を」とのサブタイトルのもとで、同氏は「この機会(靖国神社創立130年=1999年。代理人注)に内閣総理大臣の公式参拝がぜひ実現できるようにしたいですね。それが実現できれば、総理大臣の参拝を露払いとして、天皇陛下の御親拝も復活可能なのではないかと思います」と述べている。対談相手もそれに賛意を示していることは、文脈からあきらかである。

 この小堀氏の発言は恐らく被告靖国神社の考えに沿うものであろう。そうであるならば、被告靖国神社は内閣総理大臣の参拝のみならず、天皇(それはいうまでもなく、国家機関の一つである)の公式参拝まで望んでいることになる。

 そこには、被告靖国神社の性格が如実に示されている。同被告が国家機関による参拝を求めるのは、まさに憲法が定める「」いかなる宗教団体も国家から特権を受けてはならない」との禁止条項に旦かに反する。この姿勢は、被告靖国神社の時代錯誤と憲法感覚の欠如を示すものである。

 被告靖国神社には、戦没者を「顕彰」「讃美」する姿勢は見られても、わが国の戦争、とりわけ、わが国のみならず、中国、朝鮮(DPRK)半島をはじめアジア諸国に惨禍をもたらした太平洋戦争・侵略戦争に対する反省の態度は微塵も見られない。

 また、被告靖国神社が合祀する戦没者の遺族が幾人も,自己の肉親が同神社に合祀され、「英霊」とされていることに怒りを覚え、合祀取消を要求してきたが、同被告はこれに応じていない。国家に対して特権の付与を求めながら、他方では遺族からの合祀取消の要求に応じない、その態度に靖国神社の傲慢さが表れている。

 


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